「東京都水道局」の版間の差分

2011年2月4日 (金) 01:19時点における版

水道局の蓋では、東京都章を使ったものが多い。東京都章は昭和18年11月2日付で告示されているが、前身である東京市の市章をそのまま受け継いでいる。従って東京市時代の蓋との厳密な区別は難しいが、蓋の呼称や字体、右書きか左書きかなどでその時代を推測することは可能である。この項目には東京市時代のものと思われる蓋も掲載している。

ギャラリー

阻水弇小蓋

「阻水弇」(そすいえん)という呼称は、現在路上で見られるこのタイプの蓋の呼称としては最も古く、マンホールのふた日本篇によると、昭和11年の仕様書では既に「制水弁」と記載されているとのことだ。ただし、マンホールのふた日本篇では「弁」と「弇」とを区別せず、「弇」を「弁」の旧字体、或いは異字体として扱っているように見受けられる。実際は「弇」は覆うという意味を持った別の漢字であり、「弁」旧字体は「辨」・「瓣」という表記であった(※)。従って、このタイプの蓋及びその設備の呼称は「阻水弇」→「制水弇」→「制水弁」という変遷を経たものと思われ、昭和11年の仕様書では「制水弇」の呼称だったのではないかと思われる。

※他に「辯」や「辮」、さらに"冠"の意味を持つ「弁」という字自体も現在の「弁」という字の祖先(旧字)にあたるが、水流を調節するという意味は持たず、蓋にこれらの文字は使われなかったはずである。

阻水弇(右書き)
阻水弇(右書き)

制水弇小蓋

「制水弇」と書かれた蓋には、右書きのものと左書きのものとの2種類が存在する。さらに、同じ構成の蓋でも紋章の大きさや文字の形など細かな違いも見られる。左書きは戦前の1940年頃には一般に浸透しつつあったとのことなので、左書きだから戦後のものだという推測は間違いである。

制水弇(右書き)
制水弇(右書き)
制水弇(右書き)
制水弇(右書き)
制水弇(右書き)
制水弇(右書き)
制水弇
制水弇
制水弇
制水弇
制水弇
制水弇
制水弇
制水弇(工業用水)
制水弇(工業用水)

コンクリート製小蓋

非常に数が少ないが、都章の入ったコンクリート製の蓋も存在する。下水道用の鉄筋コンクリート蓋が昭和7年に森勝吉によって発明され、戦中の鉄不足の際に普及が進んだという状況を考えると、この蓋も戦中に製作されたものではないかと推測される。

コンクリート製

制水弁小蓋(旧タイプ)

「阻水弇」、「制水弇」と同じデザインで「制水弁」と表記された蓋。新字体が一般に普及し始めたのは1950年代以降とのことなので、この蓋の設置は戦後であると推測されるが、「制水弇」の蓋よりも数は少ないようだ。

制水弁
制水弁
制水弁

排水弁小蓋

「排水弁」と書かれた蓋も存在する。「阻水弇」・「制水弇」と同じ系統のデザインだが、四角い形状になっている。

排水弁

防火水道

「防火水道」と書かれた蓋。左書きであり、「道」の字が新字体になっているのでそれほど古くないとも推測できるが、右書きのものも存在するようなので何ともいえない。

防火水道
防火水道

その他の蓋

制水弇
泥吐室
東京都章(東京市章)を基にした地紋
排氣弇

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 ===制水弇小蓋===
-「制水弇」と書かれた蓋には、右書きのものと左書きのものとの2種類が存在し、同じ構成の蓋でもさらに細かな違いも見られる。左書きは戦前の1940年頃には一般に浸透しつつあったとのことなので、左書きだから戦後のものだという推測は間違いである。
+「制水弇」と書かれた蓋には、右書きのものと左書きのものとの2種類が存在する。さらに、同じ構成の蓋でも紋章の大きさや文字の形など細かな違いも見られる。左書きは戦前の1940年頃には一般に浸透しつつあったとのことなので、左書きだから戦後のものだという推測は間違いである。
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 ファイル:東京都制水弇右IMG 1293.JPG|制水弇(右書き)